塚穴の森等 植生調査結果(2021年8月10日)

生物多様性への間伐による効果を検証するため、植生調査を行いました。間伐後3,4年の間については、間伐した区画では概ね、種数・多様度指数ともに増加傾向が見られました。

塚穴の森等 植生調査結果20210810web用.pdf
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●調査場所と期間

当チームでは2014年から2015年にかけて、撰原の通称「塚穴(つかあな)の森」にて、また2015年から2016年にかけて、同じ山主さんが持っておられる近隣のヒノキ林にて、それぞれ5割程度の間伐をさせていただきました。

 

塚穴の森には坂尻古墳があり、地元では古墳のことを、親しみを込めて「塚穴」と呼んでおられることから、「塚穴の森」という愛称になりました。現在は「森のおはなし会」等の活動が行われています。

 

植生調査は、塚穴の森では2014年から2018年まで、近隣のヒノキ林では2015年から2018年まで行いました。

 

【塚穴の森】

 

【近隣のヒノキ林】

●調査方法

植生調査は橋本友里恵さんにご指導いただきました。橋本さんは大学で生態学を学ばれ、これまでの植生調査のご経験から、生物の専門でない一般市民ボランティアでも取り組みやすい簡易な調査方法をご提案くださり、実施することになりました。

 

林内の平均的な植生と思われる箇所を選び、1㎡の区画を7つ作りました。間伐開始時から間伐終了後にかけての3~4年間、毎月、区画内の植物の種類と占める割合、高さを調べました。区画は最初はもっと多く作りましたが、途中で崩れてしまい消失した箇所がありました。また実施できない月があったほか、同定できない植物もありました。

 

生物多様性の評価はシャノン・ウィナーの多様度指数を用いました。種数が多いほど、かつ各種の均等度が高いほど、高い数値になります。

 

参考:JTWebページ 生物多様性の評価について

 

【調査の様子】

 

●結果

7つの区画の内、種数は間伐前後で全ての区画で増加しました。多様度指数は6区画で増加し、1区画で減少しました。サンプル数が少なく、また無間伐林との比較はできていませんが、間伐後3,4年の間は概ね、種数・多様度指数とも増加傾向が見られました。

 

各区画の経年変化については、「塚穴の森等植生調査結果20210723.pdf」をご覧ください(このページの上段からダウンロードできます)。

プロット名 種数 多様度指数
(塚穴の森) 2014年10月 2017年10月 2014年10月 2017年10月
A-1 2 9 0.08 0.31
A-2 2 4 0.08 0.37
A-3 6 10 0.54 0.26
B-2 3 16 0.08 2.04
B-3 3 9 0.98 2.38
(近隣のヒノキ林) 2015年10月 2017年10月 2015年10月 2017年10月
②A-1 1 10 0.00 2.61
②A-2 2 6 0.14 1.75

 

【塚穴の森】

(左)2015年10月18日撮影    (右)2017年10月9日撮影

【近隣のヒノキ林】

(左)2015年8月23日撮影    (右)2017年10月9日撮影